【社員インタビュー】AI開発で”人”を知り、元気に社会参加できる幸せを
オムロンの新規事業創造に挑むメンバーの活動内容に迫るインタビュー企画。
今回はデータソリューション事業本部(DSB)・自立支援事業部の齋藤さんにお話を伺いました。
1.現在どんな仕事をしていますか?
高齢者の方がいきいきと過ごせる社会の実現を目指し、健康寿命の延伸を目標に掲げる自立支援事業部で、商品技術開発グループのアルゴリズム開発を担当しています。
オムロンが自治体や地域包括支援センター向けに提供する「ケアマネジメント用ICT、伴走支援、専門職支援、データ分析」の4つのサービスのうち、ケアマネジャーの方が利用するICTに搭載するアルゴリズムを企画・設計し、委託先と連携して実装・評価します。
ベテランのケアマネジャーの方の知見や蓄積したデータからわかることをAIのアルゴリズムに組み込み、誰でも質の高いケアマネジメントを行えるようにすることを目指しています。
事業部の他部門のメンバーや専門職の方の声を聞いて、開発を進めています。
2.これまでのキャリアとDSBに異動したきっかけを教えてください
新卒でオムロンに入社し、技術・知財本部に配属されました。
最初はヘルスケア領域で女性の基礎体温を軸にした分析・アルゴリズム開発や、特定保健指導を目的とした行動変容技術の開発に携わりました。その他にも制御機器事業では工場の製造現場で障がいのある方が使う治工具のデータベース設計、電子部品事業ではeSportsのキーボードスイッチの押し心地を測定する脳波指標の研究など、さまざまな事業に関わる開発、研究、企画を経験させてもらいました。入社以来、事業や職種が変わったとしても”人”に関係する仕事がしたいという希望を伝え続け、ありがたいことにそれを叶えてもらっており、一貫して人に関係するテーマに携わることができています。
その後自立支援事業のアルゴリズム開発を担当することになりましたが、もっとこの分野を探究してみたいという思いがあったことと、それまでの開発ではアルゴリズムを作って事業部に渡す段階までしか関われなかったので、「商品に載せるプロセスまで携わりたい、どういう反響があるのかユーザーの声を聞きたい、改善サイクルを回したい」という希望があり、DSBに異動しました。
3.現在の仕事のやりがいは何ですか?
地域包括支援センターでケアマネジャーの方がケアプランを作成する際に利用者の方に質問する項目は、身体機能や生活習慣、病気や住環境など多岐にわたります。それらの項目とケアマネジャーの方の専門知識や経験値による判断をどのように構造化してアルゴリズムで再現するのか。とても複雑で難しく、日々現場で実践されているケアマネジャーの方への尊敬の念が深まるばかりですが、難しいからこそおもしろくもあり、挑戦を続けています。
元々”人”を知ることが好きで、人に関係するテーマでずっと人のデータに触れてきました。
その中でも、自立支援事業では扱うデータが多種多様で、過去の開発を振り返っても、一番広い観点で人を見ていると思います。
これまでの開発で取り扱ってきた基礎体温や人が触れる物の機械特性などのデータひとつひとつが人の健康のどこに関するデータだったのか、自立支援事業での経験の中で俯瞰していくことで関連性が分かるようになり、日々新たな発見につながるのがおもしろいです。
4.大切にしているバリューはありますか?
“エンパシー”です。
これまで携わってきた仕事の経験において、対象は同じ“人”でもさまざまな視点でみることができるので、別の分野の人に対する視点を取り入れることによって、ブレイクスルーにつながることもありました。それと同様に、これまでの経験や固定概念などにとらわれずに、いろいろな人の意見や知見をまずは受け入れて組み合わせていくことが、結果的に良いものをつくることにつながると感じるため、できるだけ新しい視点を受け入れるように心がけています。単純に別の視点から物事をながめて新たな発見をしたときの感覚が好き、という個人的な趣味でもあります。
*バリューとは組織のミッション・ビジョンを達成するため、一人ひとりの価値観を尊重しながら、組織としてぶれることなく分かち合うべき価値観/行動指針です。
5.今後のこと(事業の見通し、個人の目標)について教えてください
自分がなぜ”人”に興味があるのかを突き詰めていくと、人に貢献したいという気持ちが根底にあるのだと思います。
これまでも担当する業務が決まったときは「何のために仕事をするのか?」を最初に考えてきました。
自立支援事業に関しては、もともと生物を専攻していたこともあり、生物学の視点で”人”の特性を調べてみました。すると、人が他の動物と比べて老いても長生きするのは「育児を含めた社会参加のため」という説があり、「最後まで元気に社会参加できることが、人の幸せにつながるのでは」と感じました。それを支援するAIをつくることを目標に、日々開発に取り組んでいます。
今は大分県や大阪府、小松市との連携協定の中で得られた知見やデータも使いながらアルゴリズムを開発中で、今後商品に搭載していく予定です。ただ、それはゴールではなくあくまでスタートと捉えており、そこからどれだけ進化させられるかがカギになると考えています。
実際に商品に載せ、顧客の意見を反映させて改善していく経験を積んで、さらに良いサービスの開発につなげていきたいです。