【展示会レポート】「pengu」が製造現場を惹きつける理由
2023年10月25~27日の3日間、愛知県名古屋市にあるポートメッセなごやで、製造のデジタル化を実現する企業が一堂に会する「第6回名古屋スマート工場EXPO」(主催:RX Japan)が開催されました。
会場には、事業創造プラットフォームIXIから生まれた「pengu(ペング)」をPRするブースも出展。「pengu」は、定型作業が多く業務を圧迫している、デジタル化したくてもそもそも人財が不足している……そんな多くの課題を抱えている製造業の現場をサポートするために生まれた新サービスです。
このサービスを通して、IXIが実現したい企業の姿とは?展示会の様子とともにご紹介します。
※記事内の組織名、役職などは取材当時のものです
DX化で現場にイノベーションを起こす
「pengu」開発の背景には、近年オムロンが掲げてきた「データの利活用による社会的課題の解決を目指そう」という理念があります。データをもっと自由に流通させ、誰もが利用できるようになれば、新しい取り組みが増え、一企業だけでなく社会の発展につなげることができる。オムロンは一丸となってそうした“データ流通社会”を目指し、さまざまな業界の課題解決に向けた取り組みを行っています。(その理念に至るまでの経緯は記事「独自のアプローチで挑む、現場から経営に繋がるDXイノベーション(https://note.com/ixi_omron/n/nb1bbceb76db1)」をご覧ください。)
その事業領域の一つとして、IXIでは製造業をはじめとする“現場”を変革する「現場DX®︎(以下、現場DXと表記)」を重視してきました。その取り組みの中で生まれたのが、現場業務のIT化を支援する「pengu」です。最大の特徴は、OCR(手書きの紙帳票の文字をデジタル化する)、ETL(ファイルの読み取りや集計作業を自動化する)、RPA(システムを横断して入出力を実行する)の3つの業務自動化ツールが1セットになっていること。そして、さらに現場の担当者がそれらのツールを使いこなせるようにするためのSEによる育成プログラムも組み込まれている点です。
penguについて詳しくはこちら(https://lp.sdtm.omron.com/)
「pengu」を通して展示会で様々な検証
サービスのリリースからおよそ2年が経過し、「pengu」チームは、2023年の夏ごろから製造業界の展示会への出展を積極的に行っています。このタイミングで出展機会を増やしたのはどのような理由からなのでしょうか?来場者でにぎわう「名古屋スマート工場EXPO」会場のオムロンのブースに伺い、「pengu」サービスのインサイドセールスを統括する小森吾朗さんにお話を聞きました。
小森:
「pengu」は、これまでさまざまな企業様に導入いただき、おかげさまで成果も見えてきました。より多くのお客様にサービスを知っていただき、導入いただくことで、少しでも早く現場の改善を進めていただきたいという思いがあり、展示会出展にも力を入れていくことにしました。製造業の皆さんと直接お話しすることで、よりサービスについて理解していただき、また現場で働く方たちの意見も吸い上げることができると思っています。
展示会出展は「新規顧客獲得」や「サービスに関わるマーケティング」だけでなく、2024年度の展示会開催に向けたノウハウの蓄積も目的の一つ。今回の展示会には3日間でのべ2.6万人以上が来場し、オムロンのブースにも日を追うごとに来場者が増えていきました。
チーム一体となって現場DXの意義を伝える
来場者の熱気に包まれた展示会会場。オムロンのブースでは、IXIメンバーが次から次へとサービスの説明に追われていました。空いた時間でお話をうかがうと、「想定していた以上に興味を持っていただけている」「『今度改めて話を聞きたい』と名刺をいただいた」と、確かな手ごたえを感じている様子でした。
伏野:
予想以上にたくさんの方に足を運んでいただいてびっくりしています。私は開発中の新機能「SUISUIスマホOCR」をメインでご紹介させていただきましたが、ブースの様子を写真に撮って「部下にも共有します」と言っていただけたことが嬉しかったです。
今江:
「pengu」はITの専門家向けではなく、現場で働く一般の方が対象で、来場者の方にはその点で関心を持たれる方が多かったです。オムロンの中でも「現場で使ってもらうためにはどうあるべきか」と考え検証してきたことが形になっているので、より多くの方に使ってもらい、業務改善に役立てていただきたいですね。
葛川:
「紙の書類をデータ化したい」とOCRの機能を求めている方が多い印象です。しかし、電子化したデータの活用については考えが及んでいない方も多く、「pengu」の“3つの機能が1セットになっている”という独自性が際立つなと思います。一部ではなく、トータルでの業務改善を実現できるという点を知っていただく良い機会になりました。
佐藤:
「DX化したいけどどうすればいいかわからない」という課題を抱えていらっしゃる方が多く、直接お悩みをうかがうことができて良かったです。特に育成プラグラムによる教育・サポートに興味を持っていただき、具体的な商談に進んでいます。
馮:
ブースに立つのは今日が初めてなので、うまくお客様に説明できるか、最初は不安でした。実際にお客様に接すると「このサービスをもっと知ってほしい!」という気持ちが前に出て、積極的にお声かけすることができ、「いいサービスですね」と言っていただけて良かったです。他のメンバーが接客している姿も刺激になりました。
布施:
日ごろお会いできない方のリアルな意見をうかがうことができて、さまざまなニーズを知ることができ、また我々が「この機能は求められていないのでは」と不安に感じていたものでも、解消することができました。今回の出展は、今後の事業や商品を検討するのに役に立つだけでなく、自分たちの活動に自信も持てると感じています。
ご自身も3日間ブースに立ち続けた小森さん。来場者の方と直接話をして、まだまだ現場のデジタル化が進んでいない現状を改めて感じたといいます。
小森:
特に製造の現場で、紙ベースでのアナログな運用が未だに続いていることを実感しました。「電子化して効率を上げたい」というご希望が予想以上に多かったことが印象に残っています。
また、育成プログラムの必要性についても共感していただくことが多々ありました。「まさに、DXを進めていくことができる人財を現場で育てることが求められているんだ」と声をかけていただくこともあり、大変嬉しかったです。
まとめ
ブースに足を運んだ来場者の中には、“オムロン=電気機器メーカー”というイメージから、センサーやPLC(シーケンサ)といった“モノ”を探す人の姿も見受けられました。しかし、IXIが目指す「現場に携わるすべての人がデータを容易に活用し、データを価値に変えて自らがイノベーションの源泉となること」を追い求めた結果、今回は「業務自動化ツールと育成プログラムをセットにした業務改善サービス」というかたちを選んでいます。社会的課題解決を達成するためなら、既存のスタイルにとらわれず、新たな領域にも踏み出していけるのがIXIの強みです。
オムロンのブースには、「現場で困っている人たちの声に真摯に耳を傾ける」という気持ちを持って、熱心に話を聞き、丁寧にサービスの説明をしているスタッフたちの姿がありました。熱意に惹かれたように、ひとり、またひとりと、ブースに人が集まっていく様子は、まさにIXIの理念に現場の共感が集まる姿と重なって見えるようでした。
IXIが大事にしている「事業を通じて社会的課題を解決するソーシャルニーズの創造」が体現された3日間。その思いは、現場で課題解決に取り組む人たちの胸に確かに届いたようです。
現場業務のIT化を支援する「pengu」については、こちら。
事業検討開始時のストーリーについて、詳しくはこちら。