見出し画像

DX​化​​のなかで取り残される現場をつくらない!オムロンpenguが解決する「名もなきタスク」とは​

​​多くの企業が人材不足、それによる生産性向上という課題に直面しています。これらの課題​​に対する​​解決策のひとつとして、​​経済産業省が2018年に「​産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進​」​​を掲げたことをきっかけに企業のDX化は進み、各社で様々なシステムやSaaSの導入が進められています。​

​​しかし、基幹システムの​刷新​と増え続けるSaaS​の導入​によって、本当に現場の業務はラクになったと言えるでしょうか。実は、システムに取り込む前工程のデータ集計や編集作業など、作業に時間を要する定型業務や可視化しづらい業務が、現場には今もなお数多く残っているのではないでしょうか。​

​​そうした必要だけど効率化されないまま現場に取り残されている定型業務や可視化しづらい業務は、​​料理における献立作りや掃除における洗剤補充を表す「名もなき家事」同様、​​名前はないけれど欠かすことのできない業務であると考え、私たちは「名もなきタスク」と呼んでいます。​

​​「名もなきタスク」を解決し、現場DX®を推進するためにオムロンはpenguを開発しました。今回は、penguがどのように「名もなきタスク」を解決してくれるのか、penguが描く現場DX®が実現した未来とはどのような世界か、​​データ活用ソリューション事業部で営業を統括する​​野々田さんにお話しを伺います。​​

お話を伺った方
野々田さん データソリューション事業本部 データ活用ソリューション事業部 営業統括部 部長​
オムロンソフトウェア株式会社へ入社後、ソフトウェアの開発、システムエンジニア、営業、企画と様々な経験を積み、オムロンソーシアルソリューションズの決済ソリューション事業部の事業統括部長を経て、2022年にイノベーション推進本部(通称、IXI)へ異動。IXIでは、SDTM(Sensing Data Trading Market)事業推進部で営業統括として、penguの事業化検証を推進し、2023年12月のデータソリューション事業本部 データ活用ソリューション事業部設立と同時に異動。現場に残るアナログ作業をデジタル化することで、現場で働く方々がより創造的な仕事を楽しんでもらえる世界の実現を目指している。​

組織名、役職などは取材当時のものです。
野々田さん

DX​化が進む中で取り残される現場課題をpenguで解決したい​

​​ーまずは、penguの狙いとそのサービス内容を教えてください。

野々田:​​
企業のDX化が進むなか、多くの企業が現場におけるDXに課題を抱えています。例えば、​紙帳票やエクセル​データの照合チェックやデータ化のための転記・集計、レポート業務など、全社で一括導入した基幹システムやSaasへ連携するための業務が現場では日々発生しています。​

​​そうした​​基幹システムやSaaS​​と現場作業の隙間を埋め​ている​、「​​名もなきタスク​​」​を自動化し、現場の方々を作業から​解放することで​​、その先の現場DX®へと導くための業務自動化サービスがpenguです。高度なエクセル作業の自動化を行うETLと、紙帳票をデジタル化するOCR、PC作業を効率化するRPAがセットになっています。​​

ー​​「名もなきタスク」を解決するために、penguは具体的にどのように活用されているのでしょうか。​

​​野々田:​
名もなきタスクと言っても、携わる人や企業によって取り組み方や仕様が異なるため、専任のシステムエンジニアが個別に業務のヒアリングをして、課題や解決する内容を明確にします。

またpenguは、人が関わる作業を自動化することを念頭に開発されているため、特定の業界、業種、業務に限らず、様々な現場で活用いただいています。

​​例えば、​ある物流会社様​では、​複数の荷主様から受ける配送指示データの転記作業やシステムへの入​出力業務で使用されています。これまでは荷受け時に配達に必要な情報を倉庫管理システムへ手入力していましたが、penguを使って「リストの出力」「各種データ抽出・送付」等の操作​シナリオ​を​現場担当者が自ら作成され、イレギュラーな処理が一部手作業として残るものの、定常業務の​時間削減ができ残業が減っただけでなく、出荷データの​転記・入力ミスによる配送ミス​や遅れがなくなったとのことです。​

​​お客様それぞれに効果は異なりますが、​​導入いただいた企業では業務を50%から80%ほどの割合で改善できています。​(その他の事例はこちら

​​そして、なにより嬉しいことは、​これまで​どちらかと言えばITへ苦手意識を持っていた方​でも​penguをうまく活用して、現場業務の効率化を実現していることですね。その方たちが、ご自身で​自動化​業務​シナリオ​を作成して喜んでくれていること、その効果実感から新たな​シナリオ​作成にも意欲的になってくれていることはこのうえない喜びです。​

​​ーITへ苦手意識を持つ方がRPAを自分で作ることは難しいように感じます。penguはどのようなサポートを行っているのでしょうか。​

​​野々田:​
まず、penguはプログラミングの知識がなくても直感的に​シナリオ​を作れる画面になっています。何をする​操作か​がわかりやすい機能​メニュー​を使って、1つの画面内でやりたいことを簡単に設定できるようになっています。​

​​加えて、​SUISUI My coachというお客様専用の個別育成プログラム​を用意しています。導入いただいて終わりではなく、専任のシステムエンジニアがお​客様​の業務課題を個別にヒアリングして、最大20時間のマンツーマン教育を通して、一緒に最初の業務​シナリオ​を完成します。​

​​課題を解決する業務​シナリオ​を自分で作り、効果を実感してもらうことで、​お客様ご自身​の​​業務​改善意欲​は高まりますし、現場のITスキルが高まれば、​お客様の組織力​強化にもつながると信じています。​

​​データを活用する時代に備え、取り組みを開始

ー​​penguの事業構想はいつころからあったのでしょうか。​

​​野々田:​
データ活用をベースとした事業構想は、当時のコーポレートR&D 組織である技術・知財本部が中心となって行った、次の時代のビジネスアイデアディスカッションが始まりです。2012年にデータ流通に関する仕組みの特許を申請し、ビジネスにつなげようとしましたが、社会の潮流にはまだ早すぎたのか、なかなか手ごたえがつかめませんでした。​

​​そこで、改めて​データ活用に至る手前の業務である現場のデータ収集・集計業務を見てみると、まだまだアナログな業務が散在していることに気づいたのです。

​​その後、オムロンに​新規事業創造の専門の事業組織である​イノベーション推進本部​(IXI)​が2018年に創設されたことをきっかけに、IXIにてpenguの​事業構想​を開始しました。​

ー​​IXIでは事業化の前にpenguをオムロン社内にサービス提供したと聞いています。社内提供から始めたのはなぜでしょうか。​

​​野々田:​
オムロン自体が製造業を生業にしているので、penguも最初は製造業の企業をターゲットに事業化を検討していました。そのため、まずは製造現場での検証を求め、オムロン リレーアンドデバイス 熊本工場にpenguを導入してもらったのです。​

​​熊本工場では、これまで日々発生する設備停止のエラー状況を紙に記録し、1時間以上かけてデータ化・集計を行っていましたが、penguを使えばわずか5分で完了。短縮できた時間を他の作業や、より付加価値の高い業務に使えるため、稼働率も向上していきました。​

​​その効果が自然と社内に広がり、工場以外の事業部門でもpenguを使えるのではないかと活用する部門が徐々に増え、今では70以上の部門で使われるようになりました。​

​​データを活用した新たな価値や顧客体験の創出を目指す​

ー​​早くからデータを活用する未来を描いていたオムロンですが、penguは今後どのような世界を目指しているのでしょうか。​

​​野々田​:
​​penguを通して私たちが目指すのは「サービスにできることはサービスに任せて、人はより創造的な仕事ができる社会を実現」することです。そして、現場に携わるすべての人がデータを容易に活用し価値に変える仕組みを提供し、現場の作業者はデータ活用できる現場のスペシャリストになっていただきたいと思います。​

​​今、​​多くの企業が人材不足はもちろん、IT人材不足に悩んでいますよね。これまでは、IT部門が主体となって全社のIT環境を整えてきましたが、DXが叫ばれるようになった今では、IT部門が全部門をカバーすることは難しくなっていると思います。​

​​そのため、​​各部門で必要な現場固有の業務は現場を熟知した社員が自分たちで業務改善を行い、データ活用まで担えるように、penguは誰もがデータを容易に活用して価値に変えられる仕組みや現場社員のITスキル育成を提供していきたいと考えています。​

ー​​その未来の実現に向けて、penguの提供価値は今後どう変わっていくのでしょうか。​

​​野々田:​
最終的にはデータを活用して、新たな価値を生み出していきたいと考えていますが、今はその第一歩となる「データ化」ができるようになったに過ぎません。

​​これから、データを活用できるように分析サービスの提供をしたり、取得したデータを使ってコンサルティングや業務改善を提案したり、業務の効率化や自動化といった「デジタイゼーション」から、新たな価値や顧客体験を創出する「デジタライゼーション」へとステージを移し「デジタルトランスフォーメーション」へつなげていきたいと考えています。​

ー​​今後に向けた意気込みをお聞かせください。

​​野々田:​
まず大事なのは、業種や業態を問わず多くの方にこのサービスを使ってもらうことです。ですが、お客様とお話しをしていると、自動化すると自分の仕事がなくなってしまうと心配されている方や、全社一括のサービスを導入しているので現場は困っていないと考えている方も多くいらっしゃいます。​

​​penguは業務を自動化することで定型業務を効率化し、新たな付加価値を生み出すための時間を作るサービスです。今当たり前のようにやっている業務の中にも、penguを使うことでもっとラクに、簡単に、効率化できるものはたくさんありますし、全社一律のシステムでは対応しきれない隙間の「名もなきタスク」を自動化することで、現場DX®を推進できます。​

​​展示会への出展など多くの人にpenguを知ってもらう機会を作り、多くの方が「サービスにできることはサービスに任せて、より創造的な仕事ができる」社会の実現を目指し、取り組みを進めていきます。​​

​​オムロンが進める新規事業として、社会的課題の解決と​事業成長​の両軸を常に意識しながら、事業拡大を目指すpengu。そのサービスは現場に取り残された数多くの「名もなきタスク」を解消し、現場に対応力をもたらすことで、その先にあるデータ活用を通したデジタルトランスフォーメーションを見据えています。​

​​不確実性の高いこれからの時代、企業の成長に現場DX®は欠かせません。人材不足という避けては通れない社会的課題の解決​を推進していきます。


現場業務のIT化を支援する「pengu」については、こちら。