【オフィス観測レポート】オムロンIXI/DSB 品川 オフィス 新たな事業を生み出す組織の働き方とは
オムロンは、2022年度から新たな長期ビジョン「Shaping The Future 2030」を設定しています。サステナビリティ重要課題の一つとして「価値創造にチャレンジする多様な人財づくり」を掲げ、その一環として2023年に品川オフィスのフロア改装を行うと共にActivity Based Work(ABW)を採用しました。
イノベーション推進本部(IXI)とデータソリューション事業本部(DSB)に所属する社員は自分の生活スタイルに合わせた環境で働けるよう、事業部の本拠地もしくは自宅を勤務地とするホームオフィスから働く場所を選択できます。
拠点比率は東京78%、京都15%、ホームオフィス他7%(2024年3月時点)となっており、今回は多くのIXI/DSB社員が拠点とする東京品川オフィスの1日をご紹介します。
※記事内の組織名、役職などは取材当時のものです。
時間の使い方、働く場所は自分でコントロール
オムロンはフレックスタイムを採用しており、出社時間は人によって様々。在宅勤務やホームオフィスの社員も多いため、訪問した日の朝も社員は多くありませんでした。
IXI/DSBの社員が働く品川オフィスのABWエリアは、集中・通常業務・ミーティングの3つのエリアに分かれており、その日の業務や気分に合わせて席を選べます。机や椅子にバリエーションがあり、社員それぞれにお気に入りの場所があるようです。
業務内容に合わせて席を決定
9時過ぎに一人掛けソファで作業をしていたのは、エンゲージメント推進部の野村さん。夕方のお子さんのお迎えに間に合うよう、朝、作業をすることが多く、集中できるこの場所がお気に入りだそうです。
ーフレックスタイムを活用した自分なりの働き方はありますか?
野村:
子どものお迎えがあるので、朝早くから働いて残業しないようにするなど、生活に合わせて働く場所、時間を調整しています。
働く拠点も人それぞれ、ホームオフィスを有効活用
ホームオフィスでの働き方について教えてくれたのは、DXビジネス革新センタの伊藤さん。伊藤さんは2023年春から本制度を利用し、必要なときは週1程度事業所に出社しながら京都の自宅で働いています。
ーホームオフィスの良さを教えてください。
伊藤:
移動時間など物理的なものに左右されないので、朝、子供を幼稚園に送ったり、妻と家事を分担したり、仕事と家庭のバランスが取れます。
オンライン勤務の良さは距離感が0なことです。議論や雑談中に気になったことがあればすぐに話せるので、物理的に離れているから不便ということはないですね。
打合せをする場所にもそれぞれのこだわりが
品川オフィスはオフィス内でのコミュニケーションを活性化するための工夫が随所にされています。その一つがミーティングエリアの電源位置。ポータブル電源が複数用意されているためコンセントの位置を気にすることなく、好きな場所に机を動かしてホワイトボードやモニターを使用することができます。
スペース選びも戦略の一つ、内容に合わせて場所を決める
昼過ぎのミーティングエリアにいたのは自立支援事業部の皆さん。自立支援事業のバックオフィス全般を担当する渡辺さん、データ分析を担当する葭谷さん、技術や知財管理する宮川さんが対面で打合せを行なっていました。
ー皆さんは普段から対面で話されることが多いですか。
葭谷:
出社することで、自然と対面の打ち合わせが多くなります。
渡辺:
対面だと表情や声のトーンなど非言語的要素も含めて、相手の状況を確認できます。もちろん、オンラインだと頻度高く、すぐコミュニケーションできるメリットがあるので使い分けますが、個人的には相手のことがよくわかる対面が好きですね。
ー対面で打合せをする際にはここを使うことが多いですか。
宮川:
会話する内容によりますが、議論を活性化したいときは、チームメンバーも気軽に参加したり、関係者にその場で質問したりできるオープンスペースで議論することが多いです。
オンラインミーティング時にはコラボレーションツールを駆使
その横では、同じく自立支援事業部のエンジニアチームがオンラインミーティングを実施していました。この日は松本さんがホームオフィスから、和田さんと川野さんは周りの音を遮断できるミーティングボックスから参加中です。
ーホームオフィスという働き方をどう捉えていますか。
松本:
私は宇都宮の自宅をホームオフィスとしているので、オンライン参加が基本です。業務委託の方や取引先企業などが多く関わる開発業務は元々リモート業務と相性がよいので、今の進め方に違和感は感じないです。
新幹線通勤の時間削減というメリットはあっても、ホームオフィスによるデメリットはないと思っています。
ー多拠点やオンラインでの打合せで気をつけていることはありますか。
和田:
オンラインミーティングに不都合はありませんが、対面だと伝わる非言語情報が伝わりづらいのは事実です。そのため、コラボレーションツールを駆使するなどインタラクティブに情報をやりとりするように心がけています。
休憩時間も大事なコミュニケーション時間、ランチしながら関係構築
お昼の休憩時間になると、ファミレスブースで入社1カ月の瀬川さん(データソリューション事業本部 コーポレートヘルス事業リーダー)のオンボーディングランチが行われていました。
ー入社したばかりの瀬川さんはお昼休憩をどのように過ごされていますか。
瀬川:
今は顔合わせの時間というかコミュニケーションの時間として、ほぼ毎回、出社している誰かとランチを共にしています。はじめての方ばかりなので、どんな仕事をしているのか、担当業務は今どうなっているのかなど、業務の中だけでは接点のなかった方と会話することで人間関係の構築に役立てています。
ー皆さんにとってお昼休憩はどんな時間ですか。
中村:
忙しい業務の合間にほっと一息ついて、会話を楽しめる貴重な時間です。そのため、前後に打合せが続くときなどはモバイルオーダーも駆使して、人と話す時間をたっぷり確保するようにしています。
常にオープンな環境で、コミュニケーションを重視
全体的に仕切りの少ないオープンフロアですが、フロアの一画にはIXI/DSBの本部長 石原さんの部屋があります。メンバーとの活発なコミュニケーションを求める石原さんは、部屋のドアが開いている時はいつでも声をかけて欲しいと言います。
目指すのはフラットなコミュニケーションが頻発する職場
ー部屋のドアが開いているときは自由に声をかけていいと伺いました。この発信を始めた理由を教えてください。
石原:
IXIやDSBのメンバーに求めるのは、ヒエラルキー構造ではないフラットな関係性です。
もちろん意思決定は必要なので立場の違いはありますが、新しいことへのチャレンジに関しては、職位が上の人が必ず正しいなんてことはありません。領域によっては入社1年目の人が一番詳しいなんてこともざらにあるので、誰もが意見を率直に言えない環境はデメリットしかないんですね。
それぞれの人が専門家として振る舞える心理的安全性の担保された環境、率直なオープンコミュニケーションが発生する組織であってほしいと思っています。
それは私に対しても同じで、気軽に声をかけてほしい。でも実際には難しい部分もあるので、ドアが開いていたらいつでも積極的に提案、相談に来てほしいと伝えました。
この機会をうまく使って決めてほしいことを私に促し、スピーディーに仕事を進めている人もいます。1日も早く、組織全体がそうなると嬉しいですね。
ー普段から立って仕事をすることが多いですか。
石原:
大体立っていますね。健康にも良いですし、頭の回転も良くなります。この部屋でミーティングする場合は全員につき合ってもらいますから、長時間のミーティングを避けるメリットもあります(笑)。
また、フロアの様子が見えるんですよ。誰かがこっちを見ているな、声をかけたそうだなと気づける点も気に入っています。
目線が合うことで生まれる偶発コミュニケーションを求めて
本部長室を出ると、立って仕事をしている人が他にもいました。その一人が人事を担当する濵﨑さんです。昨秋から立って仕事をすることが増え、意外なメリットに気づいたと言います。
ー立って仕事をすることの意外なメリットとは何ですか。
濵﨑:
2つあって、1つは業務効率アップです。立っているので眠くならず、作業に集中できます。もう1つが大事で、社内のことがよくわかるんです。
立つことで視野が広がり、誰が出社してるのか、どんな調子なのかなど、人事として大切な気づきを得られます。また、フロアを歩いている人と自然に目線が合うためコミュニケーションも増えました。気軽に声をかけてもらえるし、健康にも良いし、立って仕事をすることは止められないですね。
自律した働き方から、新たな価値を生み出す
定時を過ぎると集中していた業務に一区切りをつけオフィスを離れて帰宅する人、自己啓発の勉強会に向かう人など、それぞれのワークライフバランスを大事にしている様子が見られました。
今回のオフィス観測からもわかるよう、IXIとDSBは新たな価値を生み出す部署として、時代のニーズに合わせたワークスタイルが取り入れられています。
誰もがワークスタイルや時間の使い方にこだわりを持ち、それらが尊重された自律的な働きをする一方、目標達成に向けて欠かせないコミュニケーションも積極的に行われています。