【社員インタビュー】ICTサービスの活用で現場に寄り添い、高齢者を元気に
オムロンの新規事業創造に挑むメンバーの活動内容に迫るインタビュー企画。
今回はデータソリューション事業本部(DSB)・自立支援事業部の水田さんにお話を伺いました。
1.現在どんな仕事をしていますか?
自立支援事業部という、介護予防のDXを推進する部署に所属しています。超高齢化社会を迎える日本が直面している介護に関わる社会的課題(介護人材の不足、増え続ける社会保障費など)に対して、元気な高齢者を増やすことで解決を目指しています。
*介護予防のDXとは、従来の介護(高齢者の方ができなくなった入浴や買い物といった生活行為を介護サービスで補う形)ではなく、高齢者自身が一度低下した生活機能を改善し、住み慣れた地域で生活できるように支援する”自立支援型の介護”をテクノロジー・デジタルの力で推進すること。
私はこの部署で、カスタマーサクセス(CS)という形で、自治体や地域包括支援センターの方々が行う“住民の方の自立や介護予防を進める地域づくり”を、オムロンの4つのサービスを駆使しながら支援しています。
私の具体的な仕事内容は大きく分けると2つで、1つめは、地域包括支援センターの皆さんのICTを活用した自立支援型の介護予防ケアマネジメントの推進です。
介護のプロの知見・ノウハウを活用したシステムで、誰でも質の高いケアマネジメントを行えるように支援します。
介護業界は紙の文化が根強く、アナログでの業務に慣れている方が多いため、ICTを渡して「さあ使ってください」という形ではなかなか有効に活用されません。
また、ICTには高齢者の生活上の課題を抽出する(アセスメントする)上で聞き取った方がよい運動・栄養・口腔に関する聞き取り機能が搭載されているのですが、人によっては初めて実践するものもあり、どういう目的でどういう風に聞き取ったらいいのかわからない場合もあります。
そこで、ICTの機能一つ一つの目的や思想をお伝えし、研修を実行する事で有効に活用してもらえるように支援しています。それにより、介護予防ケアマネジメントを実践する上での課題を解決したり、業務効率化につなげてもらえるようにしています。
2つめは、自治体の地域づくりの支援です。自治体ごとの地域づくりを支援するプロジェクトをいくつも進める形になります。
”高齢者の方ができる限り長く元気に過ごせる地域づくり”をすすめる為の年間計画の策定、地域づくりを進める上での課題に合わせた研修の設計や運営(自立支援のプロの方を講師に招いての研修を設計・運営) 、自治体から取得したものやICTから取得したデータを活用した地域づくりの支援(集まったデータを分析し、地域の特徴に合わせた課題解決のための施策検討)を 行っています。
また地域づくりに関わる関係者同士が対話する場を作り、地域づくりを行うために必要なことを話し合い共通認識を作るということも実施しています。
市区町村ごとに抱える課題も千差万別のため、顧客の状況に合わせて内容を組み合わせながらサポートしています。
事業化したばかりなので、顧客を増やすためにCS業務に加えて営業活動も行っていて、今は大阪と大分の担当です。 出張が多く、チームの他のメンバーも新規獲得のため、日本中を飛び回っています。
2.これまでのキャリアとオムロンに入社したきっかけを教えてください
これまで営業やカスタマーサクセスなど、顧客との関係性を高める職種でキャリアを積んできました。
前職は、介護職やケアマネジャー(介護支援専門員)を採用したい介護事業者へ、求人広告や人材紹介のサービスを活用して採用成功に導き、事業拡大・業界発展の支援をしていました。
介護業界では、毎年一定数の介護職の方が他の業界に移ってしまいますが、前職では介護人材と介護事業所を適切にマッチングすることで、介護業界からの離脱防止・定着を図ることで介護人材の不足を解消しようとしていました。
しかし業界の現状を目の当たりにし、この取り組みでは根本的な解決は難しいのではと感じていました。また、仮に上手く人材不足を解消できたとしても、社会保障費の増大という面では貢献できないとも思いました。
そんなとき、前職で一緒に働いていた方からオムロンの話を聞いて、健康寿命の延伸という目標が、上記課題を解決するだけでなく、何よりお年寄り自身が元気で好きなことができる状態が一番良い!と共感できました。
もうひとつ、前職時代に、母が祖母の在宅介護をしていたこともきっかけのひとつです。
母は、祖母とできる限り一緒にいられたらという思いで、施設ではなく在宅介護を選んでいましたが、体力的にも精神的にも負担が大きく、どちらも大変そうでした。
その様子を見て「祖母がずっと元気だったらよかったのにな」と感じた経験から、「元気な高齢者が増えるというのは、皆を幸せにする素晴らしいことだ」と心から思えたことも、入社の決め手になりました。
3.現在の仕事のやりがいは何ですか?
やはり地域包括支援センターや自治体の方からポジティブな声をいただいたときです。
ケアマネジャーの方から、ICTを使うことで「自分では気づけなかった利用者の方の困りごとに気づけて、それに適したサービスを選べるようになった。選んだサービスによって前より元気になってうれしい」という声をいただいた時は大きなやりがいを感じます。
自治体の方からは、「ケアマネジャーの方のケアマネジメント力の向上が見えました」「オムロンが介在したことで地域の現状や課題が把握でき地域づくりが前に進みます」という反応を得たときにはうれしい気持ちになります。
例えば、皆さん多忙なこともあり、日々事務的なコミュニケーション中心になってしまう場合がありますし、自治体や民間企業、事務職や専門職など職種や立場が違う方たちで地域づくりを進めるので、対話を通して意識を統一することが大事です。
その為、地域づくりに関わっている人同士が、落ち着いて対話できる場をセッティングします。そこで地域の現状の把握や、課題や施策の優先順位付けなど、地域の為にやっていくことを共有し、共通認識を作ることで「一緒にやっていこう」という雰囲気が生まれます。
それに対して感謝の声をいただき、前に進んでいることを実感すると、地域づくりに貢献できている実感があります。
4.大切にしているバリューはありますか?
「ゲンバ」です。健康寿命の延伸というのは、現場の課題解決の積み重ねで実現できるものだと思っていて、ステークホルダーが多数いる自立支援事業では、地域包括支援センターや自治体の方々との対話を重ね、地域の関係者と関わり、皆さんや地域の事を知ることで取り組みが前に進むと考えています。
よって、現場の方の声を大事にするのが基本です。現場の方が何を考えているのか、どんな課題があるのかをしっかり聞く・把握するなど、現場の方との対話をかなり意識しています。
*バリューとは組織のミッション・ビジョンを達成するため、一人ひとりの価値観を尊重しながら、組織としてぶれることなく分かち合うべき価値観/行動指針です。
5.今後のこと(事業の見通し、個人の目標)について教えてください
ICTや私が介在することによる成功事例を作りたいと考えています。
自分が携わったことで「地域の高齢者の方がすごく元気になったよね」という地域を作ることが目標です。
正直、入社前は、元気になると言っても、介護サービスを利用しながら生活する(衰えを緩やかにする)というイメージでした。でも入社後に、全然歩けなかった方が、腰が伸びて階段も上れるようになった姿を目にしたりして、良い意味でのギャップで「こんなに変わるんだ!」と感動しました。 この感動を世の中にもっと広げていきたいです。
また、現在大分県が国から交付を受けたデジタル田園都市国家構想交付金事業において、大分県の事業パートナーとして取り組みをスタートしたところで、ICTを活用して業務効率化が進んだか、質が向上したかを調査していきます。結果次第でICTを使った介護予防ケアマネジメントの推進が全国的に広がる可能性があり、まずはモデル事業の成功を目指しています。